目次

問題1 物流あるいはロジスティクスの概念に関する記述

この問題は、物流(ロジスティクス)の概念に関する記述の中で最も不適切なものを選ぶものです。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

 ア.この選択肢は、ロジスティクスの目的として、モノの供給を円滑に行うことを挙げています。そして、調達部門、生産部門、販売部門などの部門を横断してロジスティクス管理が行われると述べています。これはロジスティクスの基本的な概念であり、正しい記述です。

 イ.物流の機能として輸送・保管・荷役・包装・流通加工を挙げています。これらはすべて物流の基本的な機能であり、適切な記述です。

 ウ.物流を領域から分類すると、調達物流、社内物流、販売物流及び回収物流から成ると述べています。これも物流の分類として一般的に認識されているもので、適切な記述です。

 エ.ロジスティクスの管理範囲に商品開発なども含まれると述べています。しかし、ロジスティクスの管理範囲は主に物品の効率的な流れと保管に関わる活動を指し、直接的には商品開発を含まないことが一般的です。商品開発はより広いサプライチェーン管理の一部であるとはいえ、ロジスティクスの直接的な管理範囲とは異なります。

 したがって、最も不適切な記述は「エ.ロジスティクスの管理範囲には、商品開発なども含まれる。」です。正答は「エ」になります。

問題2 物流管理(中長期管理、年次管理、オペレーション管理の3階層)

この問題は、物流管理の異なる管理レベル(中長期管理、年次管理、オペレーション管理)における業務内容を理解しているかを問うものです。選択肢の中で不適切な記述を選ぶ問題で、正答は「ウ」です。それぞれの選択肢について解説します。

 ア.物流拠点の移設や統廃合は、中長期管理の観点で検討される。

 - これは適切な記述です。物流拠点の移設や統廃合は、企業の長期的な戦略に基づいて行われることが多く、中長期管理の範疇に入ります。

 イ.CO2削減の進捗チェックと、同チェックにより問題が見つかった場合の対策は、年次管理として実施される。

 - これも適切な記述です。CO2削減の目標は通常、年次計画の一部として設定され、その進捗管理や問題対策も年次管理の範囲内で行われます。

 ウ.パレート(ABC)分析等に基づく倉庫内のレイアウト変更は、年次管理として実施される。

 - これは不適切な記述です。パレート分析やABC分析に基づく倉庫内のレイアウト変更は、より短期的な視点での効率化を目指すものであり、オペレーション管理の範疇に入ります。年次管理ではなく、日常的なオペレーションの改善や効率化を目指す活動です。

 エ.作業生産性や品質改善のための作業方法変更は、オペレーション管理として実施される。

 - これは適切な記述です。作業生産性の向上や品質改善のための作業方法の変更は、日々のオペレーションに関わるものであり、オペレーション管理の範疇です。

 したがって、不適切な記述は「ウ」であり、これが正答となります。

問題3 物流管理サイクルに関する記述

 ア.管理とは、計画この問題は、物流管理サイクルに関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

 ア.「管理とは、計画し、それを実施し、実施状況を分析評価して統制することである。」この記述は、一般的な管理プロセスの説明であり、物流管理においても適切です。

 イ.「管理技法として、Plan-Do-Check-Actionのサイクルがある。」この記述は、PDCAサイクルとして知られる管理の基本的なフレームワークを説明しており、物流管理を含む多くの分野で適用されるため、適切です。

 ウ.「Planでは、具体的な目標や計画を設定する。」この記述は、PDCAサイクルの「Plan」フェーズを正確に説明しており、適切です。

 エ.「Checkでは、改善策を実行する。」この記述は不適切です。PDCAサイクルにおいて、「Check」フェーズは、実施した計画の結果を評価し、計画の有効性や問題点を検証する段階です。改善策を実行するのは「Action」フェーズであり、「Check」フェーズではありません。

 したがって、不適切な記述は「エ」です。正答はエです。

問題4メーカーにおけるロジスティクス部門と財務部門の関係に関する記述

 ア.財務部門は、ロジスティクス部門の予算の承認と実績のチェックを行う権限を持つ。

 イ.過剰在庫の処分は、ロジスティクス部門と財務部門が協議して行う。

 ウ.管理会計によりロジスティクスコストの評価を行う場合は、財務会計と合致させる必要がある。

 エ.新しい物流システムの構築など、大幅な投資が必要になるものについては、役員会の前に財務部門のチェックと承認が必要になる。

 正答は「ウ」です。ここで、なぜ「ウ」が最も不適切な選択肢なのかを解説します。

 管理会計と財務会計は、それぞれ異なる目的を持っています。管理会計は主に組織内部の意思決定支援のために用いられ、財務会計は外部の利害関係者(例えば、投資家や債権者)に対する報告のために用いられます。したがって、管理会計によるロジスティクスコストの評価を行う場合、それを財務会計と直接合致させる必要はありません。管理会計の目的は、経営者がより良い意思決定を行うために内部的なコストやパフォーマンスを評価することにあり、財務会計の基準に縛られることなく、より柔軟なアプローチが可能です。

 他の選択肢は、メーカーにおけるロジスティクス部門と財務部門の一般的な関係性や役割を適切に表しています。財務部門は予算の承認や実績のチェック、過剰在庫の処分に関する協議、そして大幅な投資に関するチェックと承認など、ロジスティクス部門の活動に密接に関わることが多いです。これらの活動は、企業の財務健全性を維持し、効率的な資源の配分を促進するために重要です。

問題5 メーカーにおけるロジスティクス部門と企業内他部門との関わりに関する記述

この問題は、メーカーにおけるロジスティクス部門と他の企業内部門との関係についての理解を問うものです。選択肢の中で最も不適切な記述を選ぶ問題で、正答はアです。

 選択肢ア「工場立地先の選定では、ロジスティクス部門が輸送方法の観点で決定する。」は不適切です。工場立地の選定は、ロジスティクス部門が重要な役割を果たすことは確かですが、輸送方法の観点だけで決定されるわけではありません。立地選定には、土地のコスト、労働力の可用性、地域のインフラ、税制や政府のインセンティブ、市場へのアクセスなど、多岐にわたる要因が考慮されます。ロジスティクス部門は、輸送コストや効率性の観点から重要な意見を提供しますが、最終的な決定はこれら多くの要因を総合的に評価した上で行われます。

 他の選択肢について説明します。

 選択肢イ「物流サービスに関連し、顧客との折衝が必要になった時は、営業部門とロジスティクス部門で協議を行う必要がある。」は適切です。顧客の要望に応じた物流サービスを提供するためには、営業部門とロジスティクス部門の連携が不可欠です。

 選択肢ウ「輸送や保管段階でローコストとなる梱包が可能なように、製品開発部門とロジスティクス部門は、開発予定の製品のサイズや形状等について協議する。」も適切です。製品の設計段階からロジスティクスの観点を取り入れることで、輸送や保管コストを削減し、効率的な物流プロセスを実現することができます。

 選択肢エ「物流情報システムの開発は、業務上必要な要件等を情報システム部門に伝えることから始まる。」も適切です。物流情報システムの開発には、ロジスティクス部門が業務要件を明確にし、それを情報システム部門に伝えることが重要です。これにより、効率的で効果的なシステムが構築されます。

 したがって、最も不適切な記述はア「工場立地先の選定では、ロジスティクス部門が輸送方法の観点で決定する。」となります。

問題6人材確保策に関する記述

この問題は、荷主A社が直面している人手不足と離職率の高さという問題を解決するための最も適切な人材確保策を選ぶものです。選択肢は以下の通りです:

 ア.職場内での人間関係トラブルを防いで定着率向上を図るため、人事部に「ホットライン」を設け、従業員が直接悩みを相談できる体制をつくる。

 イ.まずは応募を増やすことが優先されることから、募集段階では労働条件の厳しさといったネガティブな情報は出さず、採用後にOJTを行う段階で説明し、納得してもらうようにする。

 ウ.退職を抑制するため、労働契約期間を5年など長めに設定するとともに、中途で退職した場合には違約金を請求する旨を労働契約書に記載する。

 エ.パート従業員から正社員に登用する目的で、パート従業員と正社員で賃金単価に差を付ける。

 正答はアです。

 解説:

 アの選択肢は、職場内の人間関係のトラブルを防ぎ、従業員が直接悩みを相談できる体制を作ることで、従業員の定着率を向上させることを目指しています。これは、事例で挙げられている問題点(職場内の人間関係や厳しい労働環境による離職者の多さ)に直接対処するものであり、従業員の満足度を高め、結果的に人手不足の解消に繋がる可能性があります。

 イの選択肢は、短期的には応募者数を増やすかもしれませんが、実際の労働条件とのギャップにより、新たに入社した従業員の離職率を高めるリスクがあります。これは持続可能な解決策ではありません。

 ウの選択肢は、違約金を設定することで退職を抑制しようとするものですが、これは従業員の不満を高め、企業イメージを損なう可能性があります。また、法的にも実施が難しい場合があります。

 エの選択肢は、パート従業員と正社員の間で賃金単価に差をつけることで、パート従業員の正社員登用を目指すものですが、これは直接的には人手不足や離職率の問題に対処していないため、最も適切な策ではありません。

 したがって、職場環境の改善と従業員のサポート体制を強化することで、離職率を下げ、人手不足を解消しようとするアの選択肢が最も適切です。

問題7 物流サービスに関する記述

 ア.ある特定の納品先に対この問題は、物流サービスに関する記述の中で適切なものを選ぶ問題です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

 ア.ある特定の納品先に対して特別な物流サービスを行うと、通常の物流サービスよりコストがかかる。

 - この選択肢は正しいです。特別な物流サービス、例えば特急便や特定の条件下での配送などは、標準的なサービスよりも追加のコストがかかることが一般的です。これは、特別な要求に応えるために追加のリソースや手間が必要になるためです。

 イ.倉庫内及び輸送中の作業は、多様性に富むことから、物流サービス条件別に物流コストの算出はできない。

 - この選択肢は不適切です。確かに物流作業は多様性に富んでいますが、物流サービスの条件に応じてコストを算出することは可能です。実際、物流業界では様々なサービスレベルや条件に基づいてコスト計算を行っています。

 ウ.物流サービスの基本概念である顧客満足度の向上のため、低コストでのオペレーションを重点的に行う必要がある。

 - この選択肢は一見正しいように思えますが、顧客満足度の向上は低コストだけでなく、サービスの質や速度、信頼性など多方面にわたる要素に依存します。低コストだけを追求することが常に顧客満足度向上につながるわけではありません。

 エ.物流サービスは、商品がユーザーに届けられる時点で発生するものであることから、物流サービスの管理は、納品時のサービス品質に焦点を合わせる。

 - この選択肢も一部正しい要素を含んでいますが、物流サービスの管理は納品時のサービス品質だけでなく、物流プロセス全体(注文から配送まで)の品質管理に焦点を合わせるべきです。

 したがって、最も適切な選択肢は「ア.ある特定の納品先に対して特別な物流サービスを行うと、通常の物流サービスよりコストがかかる。」です。これは、特別なサービスが追加のコストを伴うという物流の基本的な原則を反映しています。

問題8 物流品質に関する記述

 ア.受注ミスやピッキンこの問題は、物流品質に関する記述の中で最も不適切なものを選ぶ問題です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

 ア.受注ミスやピッキングミスにより、顧客と取り決めた納期遵守率や納品率が達成できないことは、貨物事故に該当する。

 - この選択肢は、物流品質に関する記述として不適切です。受注ミスやピッキングミスは、確かに物流品質に影響を与える問題ですが、これらは「貨物事故」とは異なる概念です。貨物事故は、物理的な損傷や紛失など、貨物自体に直接的な影響を与える事故を指します。一方、受注ミスやピッキングミスは、プロセスや手順の誤りによるものであり、直接的には「事故」とは呼ばれません。したがって、この選択肢は不適切な記述です。

 イ.トラックの排ガス対策、省エネ運転等の環境問題に積極的に取り組むことは、物流品質を高める活動である。

 - この選択肢は適切です。環境問題への取り組みは、物流の持続可能性を高め、間接的に顧客満足度や企業イメージの向上に寄与します。これは物流品質の一環と見なすことができます。

 ウ.物流品質を向上させるためには、自部門の前後工程との連携が必要である。

 - この選択肢も適切です。物流プロセスは多くの部門や工程が連携して成り立っています。そのため、品質向上のためには、各部門間のスムーズな連携が不可欠です。

 エ.顧客先でのドライバーの言動は、顧客に悪い印象を与える場合もあり、物流品質と直接的な関係がある。

 - この選択肢も適切です。ドライバーの振る舞いは、顧客が直接目にする物流サービスの一部であり、顧客満足度に大きく影響します。したがって、物流品質に直接的な関係があります。

 以上の分析から、最も不適切な記述は「ア」であり、正答はアとなります。

問題9 特性要因図に関する記述

 ア.毎日の出荷物量とピッキ特性要因図(またはフィッシュボーン図、原因と結果の図)は、問題の原因を系統的に分析し、視覚的に表示するために使用されるツールです。この図は、問題の根本原因を特定するのに役立ちます。選択肢を見てみましょう。

 ア.毎日の出荷物量とピッキングミス件数に基づく発生率を算出し、折れ線グラフで表す。

 - これは、特定の期間にわたる出荷物量とピッキングミスの関係を示すために使用されるデータの視覚化ですが、特性要因図の説明には当てはまりません。

 イ.クレーム内容と発生件数のデータを基に、件数の多い順に棒グラフを書き、累計構成比率を折れ線グラフで表す。

 - これはパレート図の説明に近いです。パレート図は、問題の原因を優先順位付けするのに役立ちますが、特性要因図の作成方法ではありません。

 ウ.グループ・ディスカッションを通じて出された様々な意見を整理し、原因と結果の因果関係を系統的に表す。

 - これは特性要因図の正確な説明です。グループディスカッションを通じて、問題の原因を特定し、それらの原因がどのように問題に影響を与えるかを系統的に表示します。

 エ.作業開始から作業終了時点までの作業時間帯別のクレーム発生件数を棒グラフで表す。

 - これは時間帯別のクレーム発生件数を示すためのデータの視覚化ですが、特性要因図の説明には当てはまりません。

 したがって、正答は「ウ」です。

問題10 我が国の近年の物流政策の動向に関する記述

 ア.この問題は、我が国(日本)の近年の物流政策の動向に関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢は以下の通りです。

 ア.ペーパーレス化の推進

 イ.宅配便の再配達率の目標達成

 ウ.物流施設における自動化技術の導入支援

 エ.トラック事業者の運賃改善

 正答は「イ」です。ここで、各選択肢について解説します。

 ア.ペーパーレス化の推進は、物流業界においても重要な取り組みの一つです。貿易手続きや貨物集荷等の手続きの電子化は、効率化やコスト削減、さらには環境負荷の軽減にも寄与します。このため、近年の物流政策として不適切ではありません。

 ウ.物流施設における自動化技術の導入支援も、労働力不足や作業効率の向上を目指す上で重要な政策です。ロボットや無人フォークリフト、無人搬送車(AGV)の活用は、物流の自動化・効率化を進める上で欠かせない要素であり、国が導入支援を図ることは適切な政策と言えます。

 エ.トラック事業者の運賃改善に関する政策も、物流業界における重要な課題の一つです。燃料費や人件費の上昇、車両や設備の更新コストなど、適切な運賃設定がなされていないと、トラック事業者の経営が圧迫されることになります。このため、標準的な運賃の浸透を図る政策は、業界の健全な発展を支えるものとして適切です。

 イ.宅配便の再配達率の目標達成に関する記述が不適切です。総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)のKPIとして設定されている宅配便の再配達率の目標値を既に達成しているという記述は、実際の政策動向や成果と異なる可能性があります。コロナ禍における在宅率の増加が再配達率の低下に直結するとは限らず、また、2025年度の目標値を既に達成しているかどうかは、時点によって異なるため、この記述が不適切であると判断されます。

 以上の解説から、不適切な記述は「イ」であることがわかります。

問題11 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に関する記述

この問題は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」に関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

 ア. 運転者が勤務の中途においてフェリーに乗船する場合、フェリー乗船時間は休息期間とみなされることがあります。これは、運転者が実際に運転していない時間であり、休息を取ることができるため、適切な記述です。

 イ. 自動車運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合、最大勤務時間を20時間まで延長することが可能であるという記述ですが、これは不適切な記述です。実際には、2人乗務の場合の勤務時間延長には厳しい制限があり、安全を確保するための規定が設けられています。この選択肢が問題の正答「エ」に該当します。

 ウ. 運転時間に関する記述は、一般的な労働時間の規制に沿ったものであり、適切です。2日平均で1日当たり9時間以内、2週間平均で1週間当たり44時間以内とするのは、運転者の疲労を軽減し、安全を確保するための基準です。

 ェ. 休憩に関する記述も適切です。運転開始後4時間以内または4時間経過直後に20分以上の休憩を確保する必要があるというのは、運転者の疲労を軽減し、集中力を維持するための基本的なルールです。

 したがって、不適切な記述は「イ」であり、正答は「エ」です。

問題12 労働安全衛生関係法令で規定されている事業者の責務に関する記述

 この問題は、労働安全衛生関係法令における事業者の責務についての記述の中で誤っているものを選ぶものです。選択肢の中で正しい答えは「エ」です。以下、各選択肢について解説します。

 ア. 正しい。事業者は、総括安全衛生管理者を選任した際には、その事実を所定の様式により、管轄の労働基準監督署長に報告しなければならないという規定があります。これは、労働安全衛生管理体制の適切な運用を確保するためのものです。

 イ. 正しい。安全委員会は、労働者の安全と健康を守るための対策を検討し、推進する役割を持っています。その調査審査項目の一つとして、「労働者の危険を防止するための基本となるべき対策に関すること」が含まれるのは適切です。

 ウ. 正しい。事業者は、新たに労働者を雇入れた際には、その労働者が従事する業務に関連する安全または衛生のための教育を行わなければならないと規定されています。これは、労働者が安全かつ健康に働けるようにするための重要な措置です。

 エ. 誤り。この記述は誤っています。事業者は、従業員数に関わらず、従業員の健康診断を実施しなければならないと労働安全衛生法で規定されています。従業員数が50人未満の小規模な事業所でも、定期的な健康診断の実施が義務付けられています。したがって、常時雇用の従業員数が100人を超える場合に限り実施しなければならないという記述は誤りです。

 以上の解説から、誤っている記述は「エ」であることがわかります。

問題13 ハブ・アンド・スポーク・システムに関する記述

 ハブ・アンド・スポーク・システム(Hub and Spoke System)は、交通網や物流、通信網などで見られるシステムの一つで、中心(ハブ)となる地点と、そこから放射状に伸びる地点(スポーク)との間で、人や物、情報などを効率的に輸送・配送する方式です。このシステムの特徴として、ネットワークの中心となるハブを経由して、スポーク間の輸送を行うことが挙げられます。

 問題13の選択肢について解説します。

 ア. リンクの数は少なくなる。

 - 正しい。ハブ・アンド・スポーク・システムでは、全ての地点を直接結ぶのではなく、ハブを経由して輸送するため、必要なリンク(結びつき)の数が少なくなります。

 イ. 輸送時間は短くなる。

 - 不適切。この選択肢が正答とされていますが、実際にはハブ・アンド・スポーク・システムにおいて輸送時間が必ずしも短くなるわけではありません。ハブを経由することで、直接輸送するよりも迂回することになり、場合によっては輸送時間が長くなることもあります。特に、スポーク間が近距離である場合や、ハブでの待ち時間が長い場合に顕著です。

 ウ. 近年の海上コンテナ輸送では、このシステムが導入されている。

 - 正しい。海上コンテナ輸送においては、大きな港をハブとして、そこから小さな港へとコンテナを輸送するハブ・アンド・スポーク・システムが広く採用されています。これにより、輸送の効率化が図られています。

 ェ. ハプセンターでの設備投資が必要になる。

 - 正しい。ハブ・アンド・スポーク・システムを採用する場合、ハブとなる中心地には、大量の貨物を処理するための設備や人員が必要になります。そのため、ハブセンターでの設備投資が必要となります。

 以上の解説から、問題13の正答は「イ. 輸送時間は短くなる。」となりますが、これは一般的な説明であり、具体的な状況によっては異なる場合もあることに注意が必要です。

問題14物流センターの輸送及び物流センター内作業の効率化に関する見直し案

 ア.ベンダーの納品時刻に関する指定をより細かく設定し、納品トラックの到着時刻をより分散させる。

 - これは効率化に寄与します。納品トラックの到着時刻を分散させることで、センター前のトラックの滞留やセンター内の混雑を軽減できるため、作業効率の向上が期待できます。

 イ.より遅い時間帯に配送する便を追加した1日3便体制として、店舗の開店時刻に間に合わなくても影響が少ない商品は、3便目で配送する。

 - これも効率化に寄与します。配送便を増やすことで、各便の荷物量を減らし、配送の柔軟性を高めることができます。また、開店時刻に間に合わなくても良い商品を遅い便で配送することで、緊急性の高い商品の配送に集中できるようになります。

 ウ.近隣に立地するベンダーについて、ベンダー自身が納品する体制から、A社がベンダー各社をルート集荷する体制とする。

 - これも効率化の一環として有効です。A社がルート集荷することで、納品プロセスを一元化し、輸送の効率化を図ることができます。また、ベンダー側の負担も軽減される可能性があります。

 エ.入荷時の混雑緩和のため、ベンダーのドライバーに仕分け作業を行わせる。

 - これは最も不適切な選択肢です。ベンダーのドライバーに仕分け作業を行わせることは、ドライバーの本来の業務範囲外の作業を強いることになり、ベンダーとの関係悪化や作業の質の低下を招く可能性があります。また、ドライバーによる仕分け作業は、専門的な訓練を受けていないため、効率化どころか作業の遅延やミスを引き起こすリスクがあります。

 したがって、最も不適切な選択肢は「エ」です。

問題15 量販チェーン店の物流システムに関する記述

 ア.この問題は、量販チェーン店の物流システムに関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢ごとに解説していきます。

 ア.この選択肢は、大規模量販チェーン店の物流システムにおいて、「センター納品方式」が一般的であると述べています。これは正しい記述です。センター納品方式では、納入業者が物流センターに商品を納品し、その後物流センターから各店舗へ配送されます。この方式は、在庫管理や配送の効率化を図ることができるため、大規模量販チェーン店では好んで採用されます。

 イ.この選択肢は、物流センターがDC(配送センター)、TC(輸送センター)、PC(加工センター)ごとに別々に立地することが多いと述べています。しかし、実際には物流センターはこれらの機能を一つの施設内で兼ね備えることが多く、必ずしも別々に立地するわけではありません。このため、この選択肢が問題文で指摘されている不適切な記述です。

 ウ.センターフィー方式について述べています。これは、物流センター納品以降の運営コストを納入業者に一部負担してもらう方法です。この方式は、物流コストの透明性を高め、効率的な物流システムの運営に寄与するため、実際に採用されている場合があります。

 エ.物流センター機能を卸売業に委託する事例が増えているという記述です。これは、物流の専門性を活かし、コスト削減や効率化を図るための戦略として実際に見られます。

 以上の解説から、不適切な記述は「イ」であることがわかります。正答は「イ」です。

問題16 物流データの分析に関する記述

 ア.トラック輸送この問題は、物流データの分析に関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢ごとに解説していきます。

 ア.トラック輸送の実態を把握するための方法として、運転日報の分析がある。

 - これは適切な記述です。運転日報には、トラックの運行ルート、運行時間、荷物の量など、トラック輸送の実態を把握するための重要な情報が含まれています。この情報を分析することで、輸送の効率化やコスト削減のための改善策を見つけることができます。

 イ.倉庫の入出荷データは、入出荷作業の分析だけでなく、在庫データと組み合わせることで在庫の過不足の分析にも使用できる。

 - これも適切な記述です。入出荷データと在庫データを組み合わせることで、在庫の過不足を正確に分析することが可能になります。これにより、過剰在庫や品切れのリスクを減らすことができます。

 ウ.物流OD表(起終点表)は、出荷頻度の分析に用いられる。

 - これは不適切な記述です。物流OD表は、貨物の起点と終点を示す表であり、主に輸送ルートの最適化や輸送コストの計算に用いられます。出荷頻度の分析には直接関係がないため、この選択肢が問題の答えとなります。

 エ.倉庫内作業における作業種類別の処理量と所要時間を収集することで、各作業の生産性を分析できる。

 - これも適切な記述です。作業種類別の処理量と所要時間を収集することで、どの作業が効率的に行われているか、または非効率的であるかを分析することができます。これにより、作業プロセスの改善点を見つけ出し、全体の生産性を向上させることが可能です。

 したがって、不適切な記述は「ウ.物流OD表(起終点表)は、出荷頻度の分析に用いられる。」です。正答はウとなります。

問題17 物流拠点計画に関する記述

 ア.拠点分散型であっこの問題は物流拠点計画に関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢ごとに解説していきます。

 ア.「拠点分散型であっても、顧客への配送サービスのレベルを事前に設定しておく。」

 この記述は適切です。物流拠点を分散させる場合でも、顧客への配送サービスレベルを事前に設定し、それに基づいて物流計画を立てることは重要です。これにより、顧客満足度を保ちつつ、効率的な物流システムを構築することができます。

 イ.「拠点集約型であっても、特定顧客の近くにデポを設ける場合がある。」

 この記述も適切です。拠点を集約する戦略を取る場合でも、大口顧客や重要顧客の近くに小規模なデポを設けることで、サービスレベルを維持しつつコスト効率を追求することが可能です。

 ウ.「拠点を集約すると、配送リードタイムのサービスレベルが低下しやすい。」

 この記述も一定の条件下では適切です。拠点を集約することで、一部の地域では配送に要する時間が長くなり、結果として配送リードタイムのサービスレベルが低下する可能性があります。しかし、集約によるコスト削減や効率化を通じて、他の方法でサービスレベルを維持または向上させることも可能です。

 エ.「拠点を分散させても、総拠点運営コストは変わらない。」

 この記述は不適切です。通常、拠点を分散させると、それぞれの拠点の運営に必要なコストが発生します。例えば、各拠点における人件費、施設維持費、在庫コストなどがあります。拠点が増えれば、これらのコストも全体として増加する傾向にあります。したがって、拠点を分散させると総拠点運営コストが変わらないというのは一般的には正しくありません。

 正答は「エ」です。

問題18 物流業務を外部企業へ委託する場合における委託先の選定及び管理に関する記述

この問題は、物流業務を外部企業に委託する際の選定及び管理に関する適切なアプローチについて尋ねています。選択肢の中で正しい答えは「ウ」です。以下、各選択肢について解説します。

 ア.委託先は、委託先の届出運賃料金で比較して選定すればよい。

 - この選択肢は不適切です。運賃料金だけでなく、サービスの質、信頼性、柔軟性、技術力など、多角的な視点から委託先を評価し選定する必要があります。

 イ.委託先は、ノンアセット型の方が一般的に波動対応に優れている。

 - ノンアセット型の物流会社は、自らは物流設備や輸送手段を所有せず、サービスを提供するために第三者の資源を利用します。このため、市場の需要変動に柔軟に対応できる可能性がありますが、これが最も適切な選定基準とは限りません。状況によっては、アセットを持つ会社の方が安定したサービスを提供できる場合もあります。

 ウ.委託先の作業者への指示は、業務委託会社に任せるべきであって、自社が行うべきではない。

 - これが正しい選択肢です。物流業務を外部に委託する場合、委託先の作業者への直接的な指示は避け、コミュニケーションは業務委託会社を通じて行うべきです。これにより、指示の混乱を避け、業務の効率化とスムーズな運営が図れます。

 エ.委託先の選定においては、人件費の安い物流会社を選ぶべきである。

 - この選択肢も不適切です。人件費の安さだけを基準にすると、サービスの質が犠牲になる可能性があります。コストは重要な要素の一つですが、サービスの質、信頼性、対応力なども考慮に入れる必要があります。

 したがって、物流業務を外部企業に委託する際の選定及び管理に関して最も適切なアプローチは、委託先の作業者への指示を業務委託会社に任せることです。これにより、業務の効率化とスムーズな運営を実現できます。

問題19 クロスドッキングに関する記述

まず、クロスドッキングとは、物流拠点に入荷した商品を保管せずに、そのまま仕分けて出荷する仕組みのことです。このシステムを利用することで、在庫を減らしつつ、効率的に商品を配送することが可能になります。

 選択肢を見てみましょう。

 ア.この記述は正しいです。クロスドッキングの基本的な定義を説明しています。

 イ.この記述も正しいです。クロスドッキングは、在庫を減らしながらも物流サービスのレベルを維持し、輸送コストの増加を抑えることができるという利点があります。

 ウ.この記述は不適切です。クロスドッキングを行う物流拠点では、事前出荷情報(ASN: Advanced Shipping Notice)が非常に重要です。ASNによって、入荷予定の商品の詳細が事前にわかり、効率的な仕分けや出荷計画を立てることができます。したがって、ASNは不要ではなく、むしろ必要な要素です。

 エ.この記述は正しいです。ディストリビューションセンター(DC)でも、全ての商品をクロスドッキングするわけではなく、適した商品に限ってクロスドッキングを行うことがあります。

 したがって、最も不適切な記述は「ウ.クロスドッキングを行う物流拠点では、事前出荷情報(ASN) は不要である。」となります。正答はウです。

問題20 貿易取引に関する記述

 ア.航空運送状は有価証券この問題は、貿易取引に関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

 ア.航空運送状は有価証券ではないが、信用状取引において銀行提出書類の1つとして要求される。

 - この記述は正しいです。航空運送状(エアウェイビル)は、貨物の受け取りと運送の証明書ですが、有価証券とは異なります。しかし、信用状(L/C)取引では、貨物が適切に発送されたことを証明するために、銀行提出書類の一つとして要求されることがあります。

 イ.インコタームズでは、危険負担を除く各種費用の負担の範囲が定められている。

 - この記述は不適切です。インコタームズ(Incoterms)は、国際貿易における貨物の引渡し条件を定めたもので、費用だけでなく、危険負担の移転についても定めています。つまり、費用と危険負担の両方の範囲が定められています。

 ウ.信用度の高い顧客との取引では、銀行手数料の割高な信用状を利用するのではなく他の決済方法も検討すべきである。

 - この記述は適切です。信用度の高い顧客との取引では、信用状(L/C)以外の決済方法、例えば前払いや送金など、手数料が低い方法を検討することが一般的です。

 エ.航空貨物輸送は、運賃負担力のある貨物での利用が多く、それらの品物の貿易で重要な役割を果たしている。

 - この記述も適切です。航空貨物輸送は、価値が高く、急ぎで運ばなければならない貨物や、腐りやすい品物など、運賃の高さを補うだけの価値がある貨物の輸送によく利用されます。

 したがって、不適切な記述は「イ」です。正答は「イ」になります。インコタームズは、費用だけでなく危険負担の移転についても定めているため、この記述は誤りです。

問題21 メーカーにおける在庫管理

 ア.在この問題は、メーカーにおける在庫管理に関する記述の中で最も適切なものを選ぶ問題です。選択肢ごとに解説していきます。

 ア.在庫管理の対象は、商品在庫に限られる。

 - これは不正解です。在庫管理の対象は商品在庫だけでなく、原材料、仕掛品、完成品など、製造過程における様々な段階の在庫も含まれます。

 イ.安全在庫を増やすことにより、在庫サービス率を100%にすることができる。

 - これも不正解です。理論上は安全在庫を増やすことで在庫サービス率を向上させることは可能ですが、それによって必ずしも100%に達するとは限りません。また、安全在庫を過剰に増やすことはコスト増加につながるため、実際にはバランスを取る必要があります。

 ウ.在庫サービス率は、「1-品切れ率」により算出できる。

 - これが正解です。在庫サービス率は、顧客の注文に対して即座に応えられる能力を示す指標であり、「1 - 品切れ率」で算出することができます。品切れ率が低いほど、在庫サービス率は高くなります。

 エ.受注生産では、棚卸資産は発生しない。

 - これは不正解です。受注生産でも、原材料や部品の在庫、仕掛品などの形で棚卸資産は発生します。受注生産では完成品の在庫が少ない、または全くないことが多いですが、それ以外の在庫は存在することがあります。

 したがって、最も適切な記述はウ「在庫サービス率は、「1-品切れ率」により算出できる。」です。

問題22 在庫管理に関する記述

 ア.在庫は、顧客の要求量問題22の解説をします。この問題は、在庫管理に関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

 ア.在庫は、顧客の要求量と、製造や仕入れなど供給量のギャップを調整する機能を持つ。

 - この記述は正しいです。在庫管理の基本的な目的の一つは、需要と供給のバランスを取ることです。顧客の要求に応えつつ、製造や仕入れの不確実性を管理するために在庫を持ちます。

 イ.一時的な品切れ商品について、顧客が発注を取り消さないため注文を受けたままにしておき、後日商品を顧客に引き渡す仕組みをバックオーダーという。

 - これも正しい記述です。バックオーダーは、在庫がない場合に顧客の注文を保留にしておき、商品が入荷次第、顧客に提供するシステムを指します。

 ウ.近年、予測不能な災害や新型コロナの流行、地政学的リスクなどへの備えとして、在庫を多めに保有する例が増えている。

 - この記述も正確です。サプライチェーンのリスク管理として、不確実性が高い現代においては、安全在庫を多めに持つことで、リスクに対処しようとする企業が増えています。

 エ.在庫を増やせば必要運転資金は減少し、キャッシュ・フローも減少する。

 - この記述は不適切です。在庫を増やすということは、それだけ多くの資金を商品に結びつけることを意味します。つまり、必要運転資金は増加し、キャッシュ・フローにも悪影響を及ぼす可能性があります。在庫を多く持つことは、保管コストの増加や資金の固定化を招き、経営資源の有効活用を妨げることになります。

 したがって、不適切な記述は「エ」です。正答はエとなります。

問題23 在庫管理手法に関する記述

 ア.入庫量・入庫納期はこの問題は在庫管理手法に関する記述の中で適切なものを選ぶ問題です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

 ア.入庫量・入庫納期は、予め設定された安全在庫、補充量及び補充頻度を基準として決定する。

 - これは在庫管理において非常に一般的なアプローチです。安全在庫は予期せぬ需要増加や供給の遅延に対応するために保持される在庫の量を指します。補充量と補充頻度は、在庫が一定レベルに達した時にどれだけの量を、どれくらいの頻度で補充するかを決定するための基準です。この選択肢は在庫管理の基本的な原則を正確に反映しています。

 イ.品目別の在庫量は「当残=前残-入庫量+出庫量」の式で表される。

 - この式は誤りです。正しくは「当残=前残+入庫量-出庫量」です。つまり、前の期間の残りにこの期間の入庫量を加え、出庫量を引くことで現在の在庫量を計算します。

 ウ.倉庫内にベテランの作業員を配置しておけば、ロケーション管理を導入する必要はない。

 - これは誤りです。ベテランの作業員がいることは有利ですが、ロケーション管理システムは在庫の正確な位置情報を提供し、効率的な在庫管理と迅速なピッキングを可能にします。人的資源だけに依存することは、特に大規模な倉庫や複雑な在庫がある場合、非効率的です。

 エ.WMS(倉庫管理システム)には、通常、現物の入出庫・保管を管理する機能及び商品を仕入・発注する機能が備えられている。

 - WMS(Warehouse Management System)は主に倉庫内の在庫の入出庫、保管場所の管理、在庫の最適化などに焦点を当てています。商品の仕入れや発注は、一般にはERP(Enterprise Resource Planning)システムや別の供給チェーン管理システムによって管理されます。したがって、この選択肢は誤解を招く可能性があります。

 以上の分析から、正答は「ア」です。これは在庫管理の基本的な原則に基づいた適切な記述であるためです。

問題24 適正在庫量を決定する要素・手法に関する記述

 この問題は、適正在庫量を決定する要素や手法に関する理解を問うものです。選択肢ごとに解説していきます。

 ア.「海外から単一の原材料を海上コンテナ単位で調達する場合には、不定期不定量補充方式が適している。」

 この記述は不適切です。海上コンテナ単位での調達は、大量の原材料を一度に輸送することを意味します。このような場合、通常は輸送コストを最小限に抑えるために、定期的かつ定量的な補充方式が適しています。不定期不定量補充方式は、需要の予測が難しい場合や緊急の補充が必要な場合に適していますが、コストや効率性の観点からは最適とは言えません。

 イ.「在庫補充のリードタイムは、輸送のリードタイムによって決まる。」

 この記述は正しいです。在庫補充のリードタイムは、注文から製品が到着するまでの時間を指し、その大部分は輸送にかかる時間、つまり輸送のリードタイムによって決まります。特に海外からの調達の場合、輸送のリードタイムは在庫管理において非常に重要な要素となります。

 ウ.「不定期定量補充方式では、1回の補充量を小さくすると補充頻度が減少し、大きくすると補充頻度が増加する。」

 この記述は誤りです。実際はその逆で、補充量を小さくすると補充頻度が増加し、補充量を大きくすると補充頻度が減少します。不定期定量補充方式では、補充のタイミングは不定期ですが、一度に補充する量は定量です。したがって、補充量を増やすことで在庫を長く持たせることができ、補充頻度を減らすことができます。

 エ.「年間を通してみると、特売、キャンペーン等の意図的な販売がない限り、歯ブラシはPETボトル飲料より出荷量のバラツキが小さい。」

 この記述は一般的な状況を考慮すると妥当なものですが、適正在庫量を決定する要素や手法に直接関連するものではありません。歯ブラシとPETボトル飲料の出荷量のバラツキは、需要の予測や在庫管理戦略に影響を与えるかもしれませんが、この問題の文脈では最も適切な選択肢とは言えません。

 したがって、正答は「イ」です。在庫補充のリードタイムが輸送のリードタイムによって決まるという点は、適正在庫量を決定する上で非常に重要な要素です。

問題25 在庫分析に関する記述

 ア.パレート( ABこの問題は、在庫分析に関する記述の中で最も不適切なものを選ぶ問題です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

 ア.パレート(ABC)分析は、出庫量や出庫頻度の多い順に品目を並べ、その累積構成比率で品目をABCにランク付けするという記述です。これは正確な記述で、パレート分析は在庫管理において重要なアイテムを特定するためによく使用されます。したがって、この選択肢は不適切ではありません。

 イ.在庫鮮度分析で、「入庫が多頻度」かつ「出庫が時々」に分類された商品は、在庫鮮度が高いと評価されるという記述です。しかし、この記述は不適切です。在庫鮮度分析では、商品がどれだけ新鮮であるか、つまり在庫が新しい状態で保たれているかを評価します。入庫が多頻度で出庫が少ない場合、在庫が滞留している可能性があり、鮮度が高いとは言えません。したがって、この選択肢が問題の答えです。

 ウ.在庫回転率が高いほど、資産効率は高いといえるという記述です。これは正しい記述で、在庫回転率が高いということは、在庫が素早く売れていることを意味し、資産を効率的に利用していることを示します。したがって、この選択肢は不適切ではありません。

 エ.在庫保有日数は「在庫保有量÷1日当たりの需要量」で求められるという記述です。これも正しい記述で、在庫保有日数を計算する一般的な方法です。在庫がどれだけの期間保持されるかを示し、在庫管理の効率性を評価するのに役立ちます。したがって、この選択肢も不適切ではありません。

 結論として、最も不適切な記述はイ「在庫鮮度分析で、「入庫が多頻度」かつ「出庫が時々」に分類された商品は、在庫鮮度が高いと評価される」です。正答はイとなります。

問題26 棚卸に関する記述

 ア.パレット積載商品の棚卸はこの問題は、棚卸しに関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢エ「不良品や返品など出荷不能な商品は、実地棚卸の対象としない。」が正答とされています。それぞれの選択肢について解説します。

 ア.パレット積載商品の棚卸は、商品毎のパレット積み付け定数を基本として行う。

 - これは適切な記述です。パレットに積まれた商品を棚卸する際には、パレットごとに定められた積み付け数(パレット積み付け定数)を基にして数量を計算します。これにより、効率的かつ正確に在庫数を把握することができます。

 イ.実地棚卸を実施することにより、会計上の製造原価や売上原価を算出することができる。

 - これも適切な記述です。実地棚卸を行うことで、実際に保有している在庫の量を正確に把握し、それを基に製造原価や売上原価を算出することが可能になります。在庫の正確な把握は、財務諸表の正確性を保証する上で重要です。

 ウ.情物を常に一致させておくために、循環棚卸などによって、こまめに在庫情報の精度を上げておくことが必要である。

 - これも適切です。循環棚卸は、年に一度の全体棚卸とは別に、年間を通じて定期的に部分的に棚卸を行う方法です。これにより、在庫情報の精度を維持し、帳簿上の数値と実際の在庫が一致するようにします。

 エ.不良品や返品など出荷不能な商品は、実地棚卸の対象としない。

 - これは不適切な記述です。実地棚卸では、不良品や返品された商品も含めて全ての在庫品を対象とします。これらの商品も企業の資産の一部であり、正確な在庫数や資産の評価にはこれらの商品の把握が必要です。したがって、この選択肢が問題文で求められている「不適切な記述」となります。

問題27 物流コストの分類(機能別、領域別、支払形態別など)

この問題は、物流コストの分類方法に関する理解を問うものです。選択肢それぞれが物流コストの異なる分類基準を示しています。正解は「エ」です。それぞれの選択肢について解説します。

 ア.機能別の分類について述べています。物流コストを機能別に分類する場合、輸送費、保管費、包装費、間接費などに分けるのが一般的です。これは物流活動の主要な機能に基づいた分類であり、物流コストを理解する上で基本的な方法の一つです。

 イ.領域別の分類について述べています。物流コストを領域別に分類すると、調達物流費、社内物流費、販売物流費などに分けられます。例えば、量販チェーン店が自社センターから店舗までの輸送にかかる費用は、販売物流費に分類されます。これは物流活動が発生するビジネスの領域に基づいた分類です。

 ウ.主体別の分類について述べています。物流コストを主体別に分類すると、自家物流費と支払物流費に分けられます。しかし、自社の物流子会社に物流業務を委託する場合、それは外部のサービスプロバイダーに支払う費用であり、支払物流費に分類されます。この選択肢の記述は、支払物流費の割合が減少する傾向にあるとしていますが、実際には外部委託が増えることで支払物流費が増加する可能性があります。この点が誤りです。

 エ.自家物流費について述べています。自家物流費は、企業が自身の要員、建物、車両、機器などを用いて行う物流活動にかかる費用です。これは管理会計上の費用であり、外部に支払う物流費用(支払物流費)とは異なります。自家物流費は、企業内部のリソースを使用するため、その把握が支払物流費に比べて難しい場合があります。この選択肢が正解となります。

 以上の解説から、正答「エ」が物流コストの分類方法に関する正しい説明であることがわかります。

問題28 企業会計(財務会計と管理会計)

この問題は、企業会計を財務会計と管理会計に分けた場合の、財務会計上の処理に関する記述の中で最も不適切なものを選ぶ問題です。選択肢は以下の通りです。

 ア.リース会社から配送用のトラックを一時的に借りた際、その費用を賃借料として計上した。

 イ.ある企業は配送用のトラックを7年毎に買い換えるルールとしているため、その耐用年数を7年と設定し、1年毎の期間費用を算出した。

 ウ.小売業から請求されたセンターフィーを、荷造運賃として計上した。

 エ.原材料を購入したところ、原材料の代金のほかに運賃を上乗せして請求されたが、両者を合算して原材料費として計上した。

 正答はイです。

 解説します。

 ア.リース会社から配送用のトラックを一時的に借りた際、その費用を賃借料として計上するのは、財務会計上適切な処理です。リース料は、その期間に対する費用として計上されます。

 イ.配送用のトラックを7年毎に買い換えるという企業の内部ルールに基づいて耐用年数を設定し、それに基づいて費用を計算するのは、財務会計の原則に反します。財務会計では、資産の耐用年数は、その資産が経済的に利益を生み出すと予想される期間に基づいて客観的に決定されるべきです。したがって、この選択肢が最も不適切です。

 ウ.小売業から請求されたセンターフィーを、荷造運賃として計上するのは、その費用が商品の配送に関連する費用である場合、財務会計上適切な処理です。

 エ.原材料を購入した際にかかった運賃を原材料費に含めて計上するのは、財務会計の原則に従った適切な処理です。購入した原材料を使用するために必要な運賃は、その原材料のコストの一部と見なされます。

 したがって、財務会計上の処理に関して最も不適切な記述はイ「ある企業は配送用のトラックを7年毎に買い換えるルールとしているため、その耐用年数を7年と設定し、1年毎の期間費用を算出した。」です。

問題29 様々な貨物輸送における運賃・料金に関する記述

この問題は、貨物輸送における運賃や料金の取り扱いに関する規制や慣習についての理解を問うものです。選択肢の中で最も不適切な記述を選ぶ問題で、正答はアです。

 解説しましょう。

 ア.求荷求車サイトを運営するA社が貨物自動車運送事業としての運賃表を国に届け出ているという記述は不適切です。求荷求車サイトの運営者は、荷物の取次ぎを行うプラットフォームを提供するに過ぎず、自らが運送事業者として運送サービスを提供するわけではありません。従って、運送事業者としての運賃表を届け出る必要はありません。このサービスは、荷主と運送会社を繋ぐマッチングサービスであり、運賃の届出は運送会社自身が行うべき事項です。

 イ.一般貨物運送事業と利用運送事業の許認可を取得しているB社が、許認可の種類に応じて2種類の運賃表を届け出ているという記述は適切です。これは、異なる種類の運送事業には異なる規制や要件が適用されるため、それぞれに応じた運賃表の届出が必要になるからです。

 ウ.個人事業として自転車による宅配サービスを始めたCが、運賃の届出や掲示を行わなかったという記述は、一般的には適切です。小規模な個人事業であり、特に法的に運賃の届出が求められるような形態ではない場合が多いです。ただし、地域や事業の規模によっては規制が異なる可能性があるため、一概に全てのケースで適切とは限りませんが、問題文の情報だけでは不適切とは言えません。

 エ.タクシー会社D社が貨物輸送を開始し、質量による運賃を設定したという記述は、タクシー会社が新たなサービスを提供する際の適切な手続きを踏んでいると考えられます。貨物輸送においては、質量に基づく運賃設定は一般的な方法の一つです。

 以上の解説から、最も不適切な記述はアであることがわかります。

問題30 荷主の物流コストの算出方法に関する記述

 ア.この問題は、荷主の物流コストの算出方法に関する記述の中で最も適切なものを選ぶ問題です。選択肢の中で正しい答えは「エ」です。以下、各選択肢について解説します。

 ア.会社全体の物流コスト実績を輸送等の機能別に、予め算定された社内単価に処理量を掛けて算出する方法は、一般的なコスト計算の手法の一つですが、この記述だけでは物流コストの算出方法の全体像を捉えるには不十分です。

 イ.保管、荷役、包装等の複数の機能を共用する施設の経費を物流管理費に分類することはありますが、この記述も物流コストの算出方法を網羅的に説明しているわけではありません。また、各機能に区分することが困難であるという点は、一部の状況においてのみ当てはまる可能性があります。

 ウ.工場内での工程間の仕掛品搬送等に係る費用を物流コストに含めるかどうかは、企業や業界によって異なる場合があります。一般的には製造コストの一部と見なされることが多いため、この選択肢は必ずしも正しいとは限りません。

 エ.商品が陳腐化したために廃棄するコストや、在庫金利といった在庫保有コストは、物流コストの一部として考慮されます。これらのコストは、商品の保管、管理、流通の効率性に直接関連しており、物流コストを正確に理解し管理する上で重要な要素です。この選択肢は、物流コストの算出において考慮すべき重要な要素を指摘しており、最も適切な記述と言えます。

 したがって、正答は「エ」です。物流コストには、輸送コスト、保管コスト、在庫コストなど、さまざまな要素が含まれます。在庫保有コスト(例えば、在庫金利や廃棄コスト)もこれらの重要な要素の一つであり、物流コストの全体像を理解する上で欠かせない部分です。

問題31 物流コスト

この問題は、物流コストの計上方法に関する理解を問うものです。選択肢の中で正しい計上方法を選ぶ問題で、正答はイです。それぞれの選択肢について解説します。

 ア.工場内倉庫で発生した社員の労務費を②に計上した。

 - これは保管費に関する記述であり、正しい計上方法です。しかし、問題文における正答はイとされていますので、この問題の文脈では他の選択肢と比較して最も適切なものではないと解釈されます。

 イ.原材料費に含まれる自社便で行った調達輸送費を⑤に計上した。

 - これは自家物流費の中の輸送費に関する記述であり、自社で行った輸送活動にかかる費用を正しく自家物流費の輸送費として計上する方法です。この選択肢が最も適切とされる理由は、物流コストの計上において、自社で行う物流活動の費用を適切に区分して計上することが重要であるためです。

 ウ.固定資産税のうち工場内倉庫に係る分を抽出し②に計上した。

 - これは保管費に関する記述ですが、固定資産税は直接的な物流活動の費用ではなく、間接費の一部と考えられるため、この文脈では最も適切な計上方法とは言えません。

 エ.財務諸表に特別損失として挙げられていた棚卸資産評価損の額を⑥に計上した。

 - これは保管費に関する記述ですが、棚卸資産評価損は物流コストの計算とは異なる会計処理に関わるものであり、直接的な物流活動の費用計上とは異なります。

 したがって、正答のイは、物流コストの計上において自社で行った輸送活動にかかる費用を適切に自家物流費として区分し、計上することの重要性を示しています。

問題32 物流改善策

この問題は、物流改善策におけるコスト・トレードオフを避けるための最適な施策を選ぶものです。コスト・トレードオフとは、あるコストを削減することで別のコストが増加することを指します。物流においては、輸送費、保管費、荷役費などの間でこのようなトレードオフが発生することがあります。

 選択肢を見てみましょう。

 ア.工場から在庫拠点への製品の直行輸送について、車両を大型化して、輸送頻度を削減した。

 - これは輸送費を削減する施策ですが、大型車両を使用することで、一度に運べる量は増えますが、保管費や荷役費が増加する可能性があります。つまり、一方のコストを削減することで他方のコストが増加する可能性があるため、トレードオフを発生させない施策とは言えません。

 イ.顧客への製品発送拠点として、地方の工場の近傍にある外部倉庫を借りていたが、これを廃止し、より消費地に近い都市部の倉庫を借りることとした。

 - これは保管場所を変更することで、輸送費を削減する施策ですが、都市部の倉庫は地方に比べて借りるコストが高い可能性があるため、保管費が増加する可能性があります。これもトレードオフを発生させる可能性があるため、適切な施策とは言えません。

 ウ.海上コンテナで輸送する商品の積載効率を上げるため、パレットを利用せずコンテナに直積みすることとした。

 - これは輸送効率を上げることで輸送費を削減する施策ですが、荷役費が増加する可能性があります。パレットを使用しないことで、荷下ろしや荷積みの効率が下がる可能性があるため、これもトレードオフを発生させる可能性があります。

 エ.商品リニューアル時に段ボール梱包の外形寸法を見直して、ユニットロード寸法に適合化させ、パレットへの積み数を増やした。

 - これは輸送費、保管費、荷役費の全てにおいて効率化を図ることができる施策です。パレットへの積み数を増やすことで、輸送効率が上がり輸送費が削減され、保管スペースの有効活用が可能になり保管費が削減され、荷役作業の効率も上がります。これにより、物流機能間でのコスト・トレードオフを発生させずに、全体の物流コストを削減することが可能になります。

 したがって、正答は「エ」です。

問題33 ロジスティクス情報システム

この問題は、ロジスティクス情報システムに関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

 ア.「ロジスティクス情報システムを企業間で連携させるためには、データ項目など情報内容の共通化が必須である。」

 この記述は適切です。企業間でロジスティクス情報システムを効率的に連携させるためには、データの形式や項目を共通化することが重要です。これにより、異なる企業間でも情報のやり取りがスムーズに行われ、物流の効率化が図れます。

 イ.「ロジスティクス情報システムにおける個々のシステム要件を最終的に決めるのは、システムエンジニアではなく、それぞれの担当部門である。」

 この記述も適切です。システム要件は、そのシステムを使用する担当部門のニーズに基づいて決定されるべきです。システムエンジニアは技術的な実現可能性を考慮して提案を行いますが、最終的な要件は利用者側のニーズに合わせて決定されます。

 ウ.「ロジスティクス情報システムに投資する場合、システム開発コストが最優先される。」

 この記述は不適切です。ロジスティクス情報システムに投資する際には、確かにコストは重要な考慮事項の一つですが、最優先されるべきはシステムが提供する価値や効果です。コストだけを最優先にすると、必要な機能や性能が犠牲になる可能性があります。したがって、この選択肢が問題の答えとなります。

 エ.「ロジスティクス情報システムは、情報によってモノの動きを管理し、顧客満足度向上と物流の効率化などを目指すものである。」

 この記述は適切です。ロジスティクス情報システムの目的は、物流プロセスの効率化、コスト削減、顧客サービスの向上などにあります。情報技術を活用して物流の可視化や最適化を図ることが重要です。

 以上の解説から、不適切な記述は「ウ」であることがわかります。

問題34 情報システム全般の体系に関する記述

 ア.電子メこの問題は、情報システム全般の体系に関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢の中で正答は「ア」です。それぞれの選択肢について解説します。

 ア.電子メール、ウェブサイトやグループウェアなど、主に情報伝達、共有、管理を目的としたシステムを、管理系という。

 - この記述は不適切です。電子メール、ウェブサイトやグループウェアなどは、情報伝達、共有、管理を目的としていますが、これらは「管理系」というよりは「コミュニケーション系」や「協働系」と呼ばれることが一般的です。管理系システムとは、組織の管理業務を支援するシステムのことを指し、人事管理システムや財務管理システムなどが該当します。

 イ.企業が経営を続けていく上で重要な財務管理などを行うためのシステムを、基幹系という。

 - この記述は適切です。基幹系システムは、企業の経営に直接関わる重要な業務を支援するシステムを指し、財務管理、人事管理、生産管理などが含まれます。

 ウ.基幹系と連携して日常業務の細かな制御を行うシステムを、業務系という。

 - この記述も適切です。業務系システムは、基幹系システムと連携しながら、日常の業務プロセスを効率化するためのシステムを指します。例えば、顧客管理システムや在庫管理システムなどがこれに該当します。

 エ.ロジスティクス情報システムの業務系は、計画系と実行系に大別される。

 - この記述も適切です。ロジスティクス情報システムは、物流に関わる情報を管理するシステムで、その業務を効率化するために計画系と実行系に分けて考えることがあります。計画系は物流の計画を立てるためのシステム、実行系はその計画に基づいて物流を実行するためのシステムです。

 したがって、不適切な記述は「ア」です。

問題35 ロジスティクス情報システム設計に関する記述

この問題は、ロジスティクス情報システム設計に関する記述の中で最も不適切なものを選ぶ問題です。選択肢は以下の通りです。

 ア.開発人員が不足していたので、内部設計の多くを外注化することにした。

 イ.CLO(物流統括役員)は、情報システムに対する知見もあったことからCIO(情報統括役員)を兼務した。

 ウ.現場の作業員不足が深刻化していたので、配送車両の位置管理を最優先としてシステム設計を行うこととした。

 エ.ロジスティクス情報システムの再構築の際、保守費用の低減のためにクラウドコンピューティングを選択した。

 正答は「ウ」です。それぞれの選択肢について解説します。

 ア.開発人員が不足している場合、内部設計の多くを外注化することは一般的な対応策です。これにより、リソースの不足を補い、プロジェクトの進行を確実にすることができます。

 イ.CLO(物流統括役員)が情報システムに対する知見も持っている場合、CIO(情報統括役員)を兼務することは、物流と情報システムの連携を強化し、効率的なシステム設計に寄与する可能性があります。

 エ.ロジスティクス情報システムの再構築時にクラウドコンピューティングを選択することは、保守費用の低減だけでなく、スケーラビリティや柔軟性の向上にも寄与します。これは現代のシステム設計において一般的な選択肢です。

 ウ.現場の作業員不足が深刻化している場合、配送車両の位置管理を最優先としてシステム設計を行うことは、不適切な優先順位付けと言えます。作業員不足の問題を直接解決しないため、システム設計の優先順位としては不適切です。ロジスティクス情報システムの設計では、全体の効率化やコスト削減、サービス向上など、より広範な視点からのアプローチが求められます。したがって、この選択肢が最も不適切なものとされています。

問題36 RFID( Radio Frequency Identifier)に関する記述

RFID(Radio Frequency Identifier)に関する記述の中で不適切なものを選ぶ問題です。選択肢ウ「RFIDは、データの書き換え、追加の機能をもたない。」が正答とされています。

 RFID技術について解説します。

 RFIDは無線周波数を利用してタグ(またはラベル)とリーダー(読み取り装置)間でデータをやり取りする技術です。この技術は、商品の追跡、在庫管理、個人認証など様々な分野で利用されています。

 選択肢について解説します。

 ア.「モノの移動や保管を伴うロジスティクスでは、様々な分野でRFIDの利用が望まれる。」

 この記述は正しいです。RFIDは、商品の追跡や在庫管理に非常に有効であり、ロジスティクス分野で広く利用されています。

 イ.「小売店では、RFIDを利用することで、顧客にスキャン作業の負担をかけさせずにセルフレジへ移行することができる。」

 この記述も正しいです。RFIDタグが付いた商品は、リーダーの範囲内に入るだけで自動的に識別されるため、バーコードのように一つずつスキャンする必要がなく、支払いプロセスを迅速化できます。

 ウ.「RFIDは、データの書き換え、追加の機能をもたない。」

 この記述は不適切です。RFIDタグには、読み取り専用のものと、書き込み可能なものがあります。書き込み可能なRFIDタグでは、データの追加や書き換えが可能です。

 エ.「周波数帯によってはRFIDタグとリーダー間に液体や金属が入ると読み取りができないことがある。」

 この記述は正しいです。RFIDの信号は、金属や液体によって干渉を受けることがあり、これが読み取りエラーの原因となることがあります。

 したがって、不適切な記述はウ「RFIDは、データの書き換え、追加の機能をもたない。」です。

問題37 受注処理システムに関する記述

 ア.受注処理シ問題37の受注処理システムに関する記述の中で最も適切なものを選ぶ問題です。選択肢ウが正答とされています。それぞれの選択肢について解説します。

 ア.受注処理システムにおけるオーダーエントリー処理には、直接入力とオンライン入力の2通りがあるという記述ですが、これは一般的な説明であり、特に不適切ではありません。しかし、これが最も適切な記述とは限りません。

 イ.オーダーエントリーで在庫が引き当てられ、出荷可能なオーダーは出荷情報処理へ進むが、引当不能なオーダーは全てキャンセル扱いとする、という記述です。実際には、引当不能なオーダーを全てキャンセル扱いにするのではなく、後続の処理で対応を検討することが一般的です(例えば、在庫の追加確保、顧客への納期の再確認など)。このため、この選択肢は不適切です。

 ウ.出荷情報処理にて作成するピッキングリストは、棚番順、配車別配送順等のように、後続作業を含めて効率を高められるように工夫する、という記述です。これは受注処理システムの効率化に直接関わる重要なポイントであり、最も適切な記述とされています。ピッキングリストを効率的に作成することで、倉庫内の作業効率が上がり、全体の業務効率が向上します。

 エ.オーダー管理の対象となったオーダーは、受注済のオーダーであることから、全てのデータが、「売上計上」→「請求書発行」→「売掛金管理」→「代金回収」へと続く、という記述です。しかし、実際にはオーダーが受注済みであっても、それが直ちに売上計上されるわけではありません。商品の出荷確認や顧客への納品確認が必要であり、その後のプロセスが進むため、この記述は一般的なケースを正確に反映していない可能性があります。

 以上の解説から、選択肢ウが最も適切な記述である理由が理解できます。ピッキングリストの効率的な作成は、受注処理システムの効率化に直接貢献する重要な要素です。

問題38 小売業の発注処理システムに関する記述

 ア.受この問題は、小売業の発注処理システムに関する記述の中で最も適切なものを選ぶ問題です。選択肢ごとに解説します。

 ア.VMI(Vendor Managed Inventory:ベンダー在庫管理)方式では、納入事業者(ベンダー)が小売店の在庫を管理し、必要に応じて商品を補充します。この方式は、納入事業者にとってもメリットがあります。例えば、より効率的な在庫管理や生産計画の最適化が挙げられます。したがって、この選択肢は不適切です。

 イ.VMI方式では、確かに納品内容を決定するのは納入事業者です。そのため、納品された商品が売れ残った場合の財務上の責任を納入事業者が負うことがあります。しかし、これは契約によって異なり、必ずしも納入事業者が全責任を負うわけではありません。この選択肢は一般的な状況を正確に反映していない可能性があります。

 ウ.ハンディターミナルやポータブル端末を使用して発注するシステム(ここではEOSと記載されていますが、一般にはElectronic Ordering Systemの略である可能性が高い)は、伝票の手書きや入力の手間が省け、正確性や迅速性が向上します。この選択肢は、小売業の発注処理システムにおける技術の利用に関して正確なメリットを述べています。

 エ.EOSを利用する場合でも、小売業と受注側(納入事業者)は商品名や商品コードなどの情報を共有しておく必要があります。これは、双方が同じ商品について話していることを確認し、誤発注を防ぐためです。したがって、この選択肢は不適切です。

 以上の解説から、最も適切な選択肢は「ウ」です。これは、技術を利用した発注システムが正確性や迅速性を向上させるという正しい記述であるためです。

問題39 在庫受け払い処理に関する記述

 ア.在庫受け払い処この問題は、在庫受け払い処理に関する記述の中で適切なものを選ぶ問題です。選択肢を一つずつ見ていきましょう。

 ア.得意先からの返品や仕入れ先への返品では、通常、入荷処理と出荷処理が必要です。得意先からの返品は入荷処理を行い、仕入れ先への返品では出荷処理を行います。この選択肢は、仕入れ先への返品にも入荷処理を行う必要があると誤っているため、不適切です。

 イ.在庫の実数とコンピュータに記録されている在庫数に差異がある場合、通常は実際の在庫数を確認し、必要に応じてコンピュータ上の記録を修正します。コンピュータに記録されている在庫数をそのまま正しい数値として扱うのは適切ではありません。この選択肢も不適切です。

 ウ.SCMラベルは、サプライチェーン管理において使用されるラベルの一種であり、入出荷ラベルの一種と言えますが、特別積合せ便における標準荷札であるという記述は具体的な文脈に依存します。この選択肢は一般的な説明としては不十分であり、問題文の情報だけでは正誤を判断するのが難しいです。

 エ.ITFコード(GTIN-14)を活用することで、入庫時に商品の自動読み取り検品が可能になります。これは、バーコードシステムを利用して効率的に在庫管理を行う方法の一つであり、正確な在庫管理を実現するために有効な手段です。この選択肢は適切な記述です。

 したがって、正答は「エ」です。ITFコード(GTIN-14)の活用により、入庫時の自動読み取り検品が可能になるという点は、在庫受け払い処理において非常に重要な要素です。

問題40 配車計画システムに関する記述

この問題は、配車計画システムに関する記述の中で最も不適切なものを選ぶ問題です。選択肢は以下の通りです。

 ア.配車計画システムは、可能な限り積載率を上げ、走行時間や走行距離及び車両台数などを最小化するために構築・利用される。

 イ.積載量の計算においては、使用するパレット、カゴ車などを含めた実際の質量を用いる。

 ウ.配送ルート計算では、配送条件(到着時間、車種制限など)、運行時間、荷卸し時間などと同様に、ドライバーの休憩時間を考慮する必要がある。

 エ.配送条件、道路環境の変更等に合わせて、適正なメンテナンスを行う必要がある。

 正答は「イ」です。解説しましょう。

 ア.この選択肢は正しい記述です。配車計画システムの目的は、効率的な物流を実現するために、積載率を最大化し、走行時間や距離、使用する車両の数を最小限に抑えることです。

 イ.この選択肢が不適切です。積載量の計算においては、パレットやカゴ車の質量だけでなく、積載する商品の質量も考慮する必要があります。しかし、この選択肢が指しているのは、パレットやカゴ車を含めた「実際の質量」を用いるという点で、これは積載量計算の際に考慮すべき重要な要素です。この選択肢が不適切とされる理由は、問題文の意図としては、配車計画システムの機能や目的に直接関連しない、または誤解を招くような記述を選ぶことにあるため、この選択肢が誤っているとされるのは、問題の意図に基づいています。

 ウ.この選択肢は正しい記述です。配送ルートの計算には、配送条件や運行時間、荷卸し時間に加えて、ドライバーの休憩時間も考慮する必要があります。これはドライバーの健康や安全、法令遵守の観点から重要です。

 エ.この選択肢も正しい記述です。配送条件や道路環境の変更に合わせて、車両の適正なメンテナンスを行うことは、安全な運行を確保するために必要です。

 したがって、不適切な記述を選ぶ問題において、「イ」が正答とされていますが、実際には「イ」の記述も配車計画システムにおいて重要な要素を指しており、問題の意図に基づいた解釈が求められます。